特集 医療保険抜本改正
Editorial
公衆衛生と医療保険拔本改正
橋本 正己
1
1国立公衆衛生院
pp.216-217
発行日 1972年4月15日
Published Date 1972/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204451
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周知のように昨年秋,昭和44年8月の厚生大臣諮問に対して2年の審議の後,社会保障制度審議会(昭46・9・13答申)および社会保険審議会(昭46・10・12答申)が「医療保険制度の抜本改正」について答申を行なった.国民の生命と健康に重大な影響をもたらさずにはおかないこの問題が,厚生行政の重要課題として論議されるようになってすでに久しい.しかし今朝(昭46・12・26)の新聞は,赤字対策と抜本改正を分けてさし当たり47年度は赤字対策にとりくむという厚生省の方針を伝えている.厚相の「一元化構想」や諮問案の被用者家族の国保移管などを正面から否定した両答申を受けて,抜本改正の政府案がどのようなものになるか,またこの国民福祉の喫緊の重要課題が果たしていつどのような形で決着を見いだすのか,その前途はますます混迷の度を深めている感が深い.ともあれ抜本改正の問題は前記の公的な二答申によって,その行方は混沌としながらも今や政治の舞台の前面に押し出されるに至ったことは否定できない.医療の抜本改正については,とくに昭和44年6月の自民党による国民医療対策大綱の発表を契機として,関係諸団体,政党などからこれに対する批判とそれぞれの基本的な見解,政策などが世に問われており,また昨年秋の前記の二つの審議会の答申に対しても,各方面からのこれらに対する批判,論評はすでに枚挙に暇のないほどである.
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