特集 地域精神衛生活動の進めかた
主題
地域精神衛生活動の展望
加藤 正明
1
1国立精神衛生研究所
pp.66-73
発行日 1968年2月15日
Published Date 1968/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203617
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はじめに
昭和40年10月,精神衛生法の一部改正によって,「精神衛生の第一線機関を保健所とする」ことが決められ,これに伴って従来の精神衛生相談所を精神衛生センターと改称して,精神衛生に関する技術指導機関とすることになった。以来3ヵ年を経過し,精神衛生センターの数もしだいに増加し,精神衛生活動に積極的な保健所も漸次増えつつある。しかし地域精神衛生活動の展開に関して,多くの問題や困難がある。ことに保健所における精神衛生活動をいかに進めるか,また進められるかという点について,なお種々の問題点がある。
もともと,精神衛生法の改正の直接の契機となったのが,アメリカ大使の刺傷事件であり,警察庁から厚生省に対して,精神障害に対する届出義務が要求されたことが大きな契機となっている。日本精神神経学会ではそれ以前から精神衛生法の全面的改正によって,地域精神衛生の展開を意図してきたが,思いがけない事件に遭遇して精神衛生法改正が急にとりあげられ,一部改正という段階にとどまった。それは単的にいえば,警察による精神障害者管理という逆行的方向を排して,保健所および精神衛生センターによる地域精神衛生管理のネットワークをつくって,精神障害者管理を行なうということに目標がおかれた。
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