特集 公衆衛生活動と福祉の論理
福祉の論理
精神障害者
佐々木 敏明
1
1国立武蔵療養所
pp.15-18
発行日 1972年1月15日
Published Date 1972/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204403
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--本日は,精神病者の福祉はどうあるべきか,この点について日頃考えておられることをうかがいたいと思います.その場合に福祉を自分はこういうふうに考えるのだというところからはじめた方が,あとの話しの運びに都合がいいと思うのですが……
そうですね.福祉という言葉が最近多少乱用されて曖昧になってしまった.これは暗黙のうちに,現実から遊離することが"望ましい"という意味だけを残す言葉として使われるようになったからだと思うんですよ.ところが,現実に福祉を必要とする状況は,日常生活において,その福祉・健康で文化的な最低限度の生活を営む権利がなんらかの障害によって実現できない時でしかないわけです.だから当面は,そうした状態そのものの解決策や,それをもたらした社会の仕組みを追求することにある.
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