連載 この目で見たアメリカの精神衛生活動・2
誇りたかき仕事—地域精神衛生活動に従事するケンタツキーの田舎の保健婦を訪ねて
増田 陸郎
1
1東京都目黒保健所
pp.45-49
発行日 1971年1月10日
Published Date 1971/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204829
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はしがき
私とミス・キングケードとの出会いは3年前にさかのぼる。それはアメリカの精神医学会発行の"The Volunteer and the Psychiatric Patient"(1959)の中に次のような記載を発見したときに始まる。
「西部ケンタッキーのパイロット・プロジェクトで保健婦たちが退院した精神病者,通院患者をガン,結核患者を看護したと同様に扱ったとき,彼らは地域社会全体を患者のリハビリテーションの中に包括しなければならないことを悟った。すなわち,入院中から家庭を訪問し,退院したとき,家族が彼の病気を受け入れるように支援したり,患者が社会生活を再開するのを助けてやった。彼女たちはクラブ,市民,PTAグループに仕事についての話をし,精神衛生調整協議会をつくらせた。」その後私が地域精神衛生活動を主題にアメリカ合衆国への研修に旅立つにさいし,精神衛生分野におけるボランティーア活動を見たいというほかに,ちょうど同じ苦悩を味わっている日本の保健婦さん方のために,ぜひケンタッキーの田舎を訪問して見る気になった。実際に彼女に手紙を出したのは昭和43年7月29日のことである。上記単行本巻末の協力者リストからケンタッキー州ルイビル市のDept of Mental Healthの彼女に見当をつけたわけである。返事は10月3日に船便で若干の文献と共に送られて来た。
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