特集 公衆衛生の課題と展望
農村保健
野村 茂
1
Shigeru NOMURA
1
1熊本大学・労働科学研究所
pp.170-171
発行日 1988年3月15日
Published Date 1988/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207641
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わが国の農村医学には,かつて,高橋実の「東北一純農村の医学的分析—岩手県志和村に於ける社会衛生学的調査」や,林俊一の「農村医学序説」など,農村結核や農村の乳幼児衛生の実態を明らかにした先駆的業績があった.また,南崎雄七らの実施した内務省衛生局の「農村衛生実地調査」や,暉峻義等らの労働科学研究所の「農業労働調査報告」なども昭和初期の農村保健対策を考える基礎的な資料であった.しかし,当時の記録として貴重なこれらの調査研究が剔出した課題は,そのまま現在の日本の農村保健の重点課題ではない.また,第二次大戦後の農民の健康を直視して,農村医療の向上を期して,1952年,若月俊一の主唱によって発足した日本農村医学会の主要課題も,日本の農業と農村の変貌とともに動いている.本年のこの学会の主題も,「変貌する農村への農村医学の対応」ということであった.
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