特集 住民の保健をいかに進めるか—第5回社会医学研究会・主題報告と総括討論
主題報告
4.農村地域での保健医療活動
若月 俊一
1
1長野県佐久総合病院
pp.622-625
発行日 1964年11月15日
Published Date 1964/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202925
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私どもは臨床の医者であり,ここに居られる多くの保健衛生専門のみなさんとすこし立場はちがうかもしれない。しかし,国民の医療と保健を守ろうとする気もちでは,まったく同じだというふうに考えている。
「国民の中へ」というような気もちで,農村に入って仕事をやっているが,そこは四日市だとか水俣市だとかいうような問題のある所でもなく,そうかといって離島というような特殊なところでもない。ごく普通な,ありふれた貧しい農村であって,その中へ入っていってどういうふうに働らいたらいいか,いかに村民と結びつくべきかを追求してみたいというわけである。村の中は今でも,いや今ならばこそといった方がいいかと思うのであるが,無医村的環境に悩んでいる。学会などをみると日本の医療と保健の学問がいかにもすばらしく進んでいるように見えるのであるが,そう見えれば見えるほど,これを下の国民の立場からいうと,それは画にかいたボタモチみたいなもので,はやい話が,農村には医者と看護婦もいないではないかというのがウソもいつわりもない気もちなのである。
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