特集 これからの学校保健
論点
学校保健の発展を阻むもの
学校保健の本質をみつめなおそう
川津 哲郎
1
1長崎大学教育学部
pp.196-199
発行日 1968年4月15日
Published Date 1968/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203655
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70年の歴史の重み
学校保健発展の現状分析が私の課題であるが現状は源があって起こることである。それを考えないと現状の打開も対症療法にしかならないものと思う。そこでまずその歴史をふりかえってみよう。明治百年を迎える今日,学校という場での健康問題にはすでに70年の歴史がある。子どもの健康育成の考えは90年以上にもなる。健康処理の所属が内務省であったり厚生省であったりしている間に,学校保健は他の教科や教育行事とたいへんなハンディキャップを持ちはじめたのである。この間隙を埋めてきたのが,当時では延び悩みを感じていた健康づくりの一分野としての体育といえよう。文部系統では保健専従の人材が得られにくかったから,そのようなきりかえをしていくほうが都合がよかったものと思う。この当時,国民の健康づくりには子どもが基礎であるから子どもの健康育成を広視野で専門的に取扱うことのできる機構の確立によりいっそうの努力があったならば,今日のように学校保健法とか何何法とか,健康を対象とする法律で子どもの健康保持の最低防禦線を引くような努力をしなくても,スムースに健康教育に伴った健康管理を常識的に運んでいけたのではないかと思う(文教下の保健基本進路)。学校保健の実施運営の伸び悩みの第一はその源をこのあたりに持っているものと思う。
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