談話室
学校保健の課題
村上 賢三
1
1北陸学院短大
pp.182-183
発行日 1968年4月15日
Published Date 1968/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203650
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〔Ⅰ〕 わが国における学校保健は,戦前・戦後においては,その考え方なり,実際の活動面においても大きな変化が認められる。すなわち戦前の学校衛生といった時代には,校医が中心になってその活動が続けられ,しかも保健管理にその主力がそそがれてきたのである。
そのうえその活動は,教育の目的を達成するための補助的活動と考えられてきたのであるが,戦後の新しい健康観の上にたって,生命の尊厳性に鑑み,健康の保持増進の問題は,教育の手段としてではなく,教育の目的と考えられるように,世界的に変わってきたのである。わが国の憲法第25条および教育基本法第1条の精神もまったくここに存するのである。戦後における学校保健の考え方は,上述のようにその方向を変えてきたのであるが,これが現場の教育のなかで,どれだけ正しく認識され実践されているかという点になると,今なお多くの問題を残しているのである。
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