特集 学校保健の今日的課題
学校保健の今日的課題
船川 幡夫
1
Hatao FUNAKAWA
1
1日本女子大学
pp.652-655
発行日 1982年10月15日
Published Date 1982/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206590
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■学校保健の歴史
学校における健康に関する教育は,わが国では,明治5年7月学制の公布とともに,下等小学校で教科として「養生法」をおき,小学教則の中に5級(7歳半)に対して1週2時間の養生口授としてとりあげられたことから始まっているといえる.しかし,当時考えられた教育内容,その程度の高さ,これを教える側の準備の不足などにより,その後次第に弱体化し,むしろ,健康の問題は,管理のための学校保健としてすすめられるようになった.このことは,言葉をかえれば,学校で教育を行っていくための条件設定としての学校保健として姿をかえ,このことは,戦前までそれなりの発展をとげてきたといえる.当時の学童全般について,体格の面からみても低劣であるだけでなく,環境衛生上の問題も多く,伝染病をはじめ,栄養不良など健康上の問題を多く抱え,それらをまず解決することが教育を行うためには不可欠のことであったという当時の実情にもよったであろう.
そのために,学校保健に関連した制度の上でも,明治21年の活力検査から始まった身体検査も,明治30年ころより学校医がおかれるようになるとともに,その内容が,学童の体格や,疾病,異常の有無を診ることに重点がおかれ,その結果の有所見者に対しての対策を中心として学童の健康の管理がすすめられ,一方,学校の衛生環境をととのえ,机,腰掛けの基準をつくることや,伝染病の予防など環境の整備に重きをおいてすすめられてきた.
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