談話室
救急とは何か
福田 保
1
1順天堂大学外科
pp.188-189
発行日 1967年4月15日
Published Date 1967/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203435
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外傷や中毒その他の急性疾患のなかには,即刻なんらかの処置を施さなければ危険に陥り,すでに危険の状態にあるものもある。そのような患者に対して,とりあえず応急の処置をとることにより,不良の状態を好転させたり,しばしば生命を救うことさえある。緊急の場合であれば,医師でなくとも即座に,あるいは病院などに運ばれる途中でも手当をしなければならない場合がある。たとえば出血しつつある傷者をみた場合では,誰でもできるその局所を圧迫したり,戦時中に一般の人々に教育されたように,止血帯の利用法などがあって生命を救われた例はある。また呼吸停止の患者があれば,人工呼吸を加えたり,心停止の患者をみたらすぐに一応用手心臓マッサージを加えて蘇生させることもできるであろう。
以上のような処置は救急の一部であるが,本格的な救急処置が行なわれるためには,その設備が整っていて,常時専門医のいる総合病院や,特に設けられた救急センターでなければ救急は完全とはいえない。いずれにしても,設備のある救急医療機関に患者を送り届ける前から,運搬中に始まって,医療機関で行なわれる緊急的処置を施すまでが救急の仕事であるといえる。
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