海外事情
欧米主要都市の救急医療体制
鈴木 又七郎
1
1東京救急病院協会
pp.220-225
発行日 1967年4月15日
Published Date 1967/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203441
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救急医療という言薬が生まれたのは,つい2〜3年前のことであった。救急医療体制の確立強化を急げ!という世論が沸騰しはじめたのも,つい先頃であったように思う。そうかと思うと,救急業務などといって,医師法で定められた仕事と,そうでないものとが一緒になってピントのぼけた言葉も現われてきたしまつである。こうした与論が起こってきたその最初は,東京を代表としてわが国の多くの新産都市が,爆発的な人口と産業の都市集中,すなわち,"集中と再開発"という急激な勢いで発展してきたことにある。この発展に対して激動する都市化問題について未熟な政治力と遅れた社会開発とがついていけず,結局,理想の都市構成と,現実との間に多くの断層が露出して,その結果いろんなところに機能のマヒを起こしてきたためではないだろうか。
たとえば,ここで述べようとする主題のなかで,年間交通事故の犠牲者の数が,史上最高という悲しい記録と,一連の関係にある"救急医療体制強化"という切実な声も,実はこうした未完成都市の断層の間から湧き出してきたのであろう。
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