特集 地区診断を診断する
論叢
地区診断の効用と限界
民衆はいつも他人の地区診断であってはならない
石原 慎子
1
1北海道池田保健所
pp.260
発行日 1966年5月15日
Published Date 1966/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203245
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地区診断の効用は医学重点の対策から,地域の実情に即した多角的な公衆衛生対策の強調と民主化と平行して地区住民の問題意識を深めてゆこうという点にありましょう。最近地区診断が,公衆衛生の感覚の上で一般化されるにしたがって,その限界・矛盾も更に表面化してきたのではないかと思う。私が感じている矛盾や限界を記すと,
1)地区診断に参加する者の,おのおのの立場や,診断の範囲,方針を討議する段階でその役割がきわめて未分化の状態にあると思う。そのため問題発見の重要度の選相や,○○の問題について何とかしなければ,という意見や,公衆衛生の関心度をみようとするのか,実行可能なものの診断にするのかなどの尺度の分析がなされないままに地区診断を行ないがちのようである。そのため,不必要に,問題が多角化され,より不明確で膨大なものにしているという点がある。
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