特集 伝染病予防
ウィルス性疾患の検査体制—英国における見聞をもとにして—その課題と対策
甲野 礼作
1
1国立予防衛生研究所
pp.400-404
発行日 1965年7月15日
Published Date 1965/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203074
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■まえがき
筆者は昨年(1964)の秋,欧米におけるウイルス検査の組織と体系を視察する機会をもった。この旅行の前半,私はソ連で開かれたWHO主催の疫学セミナーに出席したのであるが,このセミナーにはTopley-Wilsonの細菌学教科書の著者として知られたSir Graham WilsonがWHOの顧問として参加しており3週間起居を共にした。Sir Grahamは後で述べる英国のPublic Health Laboratory Serviceの生みの親の1人であり,親しくその生い立ちや活動の実際について聞くことができたのは幸いであった。というのは視察した各国のうちで,ウイルス検査の組織と体系が,最も整備されていて,わが国にも参考になると思われた国は英国,正しくいえばEngland,Walesだったからである。そこで以下に英国における私の見聞を中心として,そのウイルス検査の現況を述べわが国の現状との比較,そのあるべき姿にまで言及したい。
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