連載講座 公衆衛生活動のための精神衛生学・4(最終回)
精神衛生と公衆衛生の結合
進藤 隆夫
1
1国立公衆衛生院精神衛生室
pp.118-121
発行日 1965年2月15日
Published Date 1965/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203004
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■精神衛生の4段階
室蘭保健所長の古川万雄氏は「保健所における精神衛生事業の方向」(木誌28巻9号)の中で,精神衛生活動の発展段階を,①措置期,②啓発期,③個人的予防期,④社会的予防期の4期に分けた。これに対応する社会の態度としては,①精神病者を不治として嫌悪する,②精神病者に同情し医療をほどこす,③精神衛生のために育児や教育に関心をもつ,④地区の精神衛生を社会の共同責任とするの四つの態度をあげた。また,この4期における保健所の役割としては,①精神病者の措置入院,②精神病者の調査や訪門と精神衛生の教育,③精神衛生の保健所事業への取入れ,④充実した精神衛生相談事務の四つをあげた。
昭和25年に精神衛生法が施行されてから約15年の間に,これらの四つの段階が急速に発展したため,地方によっては未だに第一,第二期の段階の活動を出ないところもある。しかし,最近のマスコミの影響で,育児や教育への関心は全国的にかなり高くなってきている。従って,第4期の保健所の充実した精神衛生相談業務を住民が要望する時代も昨今にせまっていると考えられる。問題はこの四つの役割を保健所がどの程度に果してきたか,また現に果しつつあるかである。これは卒直にいうと,全国的にみると甚だ不活溌な活動であったといえる。
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