人籟 国家衛生原理抄出・4
単独生存ト群聚生存トノ別
後藤 新平
pp.661
発行日 1964年12月15日
Published Date 1964/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202940
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凡天地ノ間ニ棲息セル動物ハ其種族千差万殊,尽ク勝ケテ数フヘカラス然レトモ其発育成長ヲ遂ケテ已ニ完全ナル形体ヲ具フル者ヲ見ルニ或ハ単独生存(Einzeln)ヲ常トスル者アリ或ハ群聚生存(Rudeln)ヲ常トスル者アリテ客其所ヲ得ルモノノ如シ抑々動物界ニ斯ク単独生存ト群聚生存トノ別ヲ生スル所以ノモノハ全ク各種動物ノ自家ニ禀有セル生理的体形(Physiologische Gestaltung)ニ起因スル者ニシテ語ヲ更ヘテ之ヲ云ヘハ各動物ノ生理的衛具(Physiologische Auslüstung)ヲ其実体ニ完備スルト否トノ関係ニ準テ然ルモノナリ
此衛具ノ単複強弱ニ随テ各種ノ生物自ラ生活状態ヲ異ニセリ,故ニ之ヲ一身ニ完備シ他ノ保護ヲ要セスシテ給養生殖ヲ営ミ生理的円満ヲ得ヘキモノハ単独生存ヲ営ム例之ハ蜘蛛ノ如シ之ニ反スルモノハ群聚生存ヲ営ム群聚生存中最高等ノモノハ人類ナリ人類ノ生理的体形ヲ観察スルニ遠ク単独生存ノ動物ニ及ハサル所アルヲ疑フモノアラン
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