特集 石垣純二氏の「保健所事業に期待するもの」を読んで
叱た鞭励の声
橋本 道夫
1
1厚生省環境衛生課
pp.358-361
発行日 1963年7月15日
Published Date 1963/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202684
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全般の印象
石垣先生の論文を読んで,先生は共同保健計画の原則と重要性を誰よりもよく理解して頂いているという感を強くした。その故にこそ痛烈に厚生省のあり方に批判を加えておられるものであり,これは公衆衛生関係者にとって叱た鞭励の声とも受けとったのは私のあやまりであろうか。
よく近ごろ共同保健計画は下火になりましたねという声を耳にするが,共同保健計画というのは何も固定的な主体性を監持した1つの事業ではなく,公衆衛生のすすめ方の原理や方法論ともいうべきものであり,従来の統計,疫学,試験検査,健康相談,衛生教育,地区組織などときわめていろいろの角度からの公衆衛生の基礎となる原理,方法のオリエンテーションをつけてくみ合せたものであり,1つの社会的な過程として解されるべきものであるということが正しく理解されていない場合が案外多いことは残念なことであるが,石垣先生の御意見はこのような原理や方式が先がける行政の体制の確立を逆説的に近いような論法でアッピールしておられると私は受けとっている。ただ,ではどのようにして,またどのような具合にそれが行われるべきかという具体的な面にほとんどふれておられないように思われるが,これは行政担当者の責任で明かにすべきことだとしておられるのであろうか。
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