原著
胸部X線集団検診時に発見された肺腫瘍について
土屋 真
1
,
竹内 敏博
1
,
鈴木 弘之
1
,
伊藤 裕一
2
,
一ノ渡 義巳
3
1宮城県石巻保健所
2岩手県立江刺病院
3宮城県衛生部予防課
pp.362-368
発行日 1963年7月15日
Published Date 1963/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202685
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I.緒言
わが国における最近の悪性新生物の死亡率は総死亡率の減少とは逆に著明に増加し,ことに肺癌死亡率は10年間で約4倍となり,40歳以上では1万人に1人以上であるといわれている。しかし今日肺癌患者の半数以上が手術不能であるといわれ1),集団検診による早期発見の必要性が叫ばれて来ており,すでに野辺地2),堂野前3),立花4)5)らの成績がみられる。ことに呼吸器は,悪性新生物死亡者の部位的百分比が,男8.5%,女4.8%にすぎないが6),胸部X線検査という苦痛を与えない簡易法で,比較的容易にスクリーニングが可能であるから,結核検診時の読影に際しても注意すべき事と思われる。ここに著者らは,保健所で毎年行なってきた結核の胸部X線集検で発見された,3カ年間の「肺腫瘍の疑い」の患者の事後調査がまとまったので報告する。
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