綜説
在院に関する研究(続報1)
吉田 寿三郎
1
,
赤尾 芙美子
1
,
岩佐 潔
2
,
津田 豊和
2
1公衆衛生院
2病院管理研究所
pp.312-316
発行日 1963年6月15日
Published Date 1963/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202673
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緒言
少産少死による人口構成上の変化,高度生産のための社会経済構造の変化および医薬学その他の進歩と広義の生活環境の改善などが相乗される結果,近い将来には慢性病弱者が激増しこれらのものにはまた急性症状も頻発して,これに応ずる医療・社会サービスは複雑且つ緊急な問題として登場する。これは見透される限りにおいてますます深刻さを加えるものと予測される。他面,民主々義の生長による人間としての自覚から適切な医療その他社会サービスの均霑・充実を欲する要求はいよいよ増大し熾烈になるものと推察される1)。
このような変化や要請に答えるために,医療の能力やその経済の活用について,新しい社会的,経済的,心理的考想を開発し,最少経費最大効率の冷酷な経済原則を成立させるるような措置が,遠からず切実に求められてくることは自明の理である。ここに述者らは,欧州先進老人国の実際を視,これに触れて,上記の変化や要請に答える方式として,家庭を中心とする広域社会全体を包括する医療福祉体系を樹立することがその最も有力な手段であると考えている。
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