特集 成人病対策
成人病対策における問題点
山形 操六
1
1厚生省公衆衛生局企画課
pp.523-527
発行日 1961年9月15日
Published Date 1961/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202441
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I.はじめに
成人病問題が最近とみに論議されるようになつてきたのは当然のことながら喜ぶべき現象である。そして各都道府県の段階においては,すでに何等かの形において具体策を実施中である。もち論各県の実情に適応した特長をもつた施策であるため,各々が勝手ばらばらに実行しているのだといつてしまえばそれまでだが,これは詳細に内容分析してみると,決して思いつきを施行しているのではなく,充分考慮した上での施策であつて,根本の柱としてはそれぞれ共通の基幹が存在している事実がうかがえるのである。また,そろそろ国の対策が明示されても良い時期であるとする説も多い。一方成人病の中でも,がんを主とする対策を考える時,早期発見といつても集団検診の形で計画立案することは時期尚早であるとする意見もある。このように今後の成人病対策に関しては,医療機関の立場,あるいは行政機関の立場等から観察すると,それこそ思い思いの論がとび出してくる。いずれにも根拠があるのではあろうが,将来の重要な課題であるだけに,この機会に充分考慮検討することも意義あることと思う。私見をまじえて恐縮であるが,今後の問題点を二,三提供して話題とし,ご批判ご指導を賜われば幸甚である。
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