綜説
世界各国における成人病対策(その3)—デンマーク
山形 操六
1
1厚生省公衆衛生局企画課
pp.641-643
発行日 1960年12月15日
Published Date 1960/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202343
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
ヨーロッパの各国はそれぞれ特徴のある衛生行政機構のもとにこ施策を行なつているが,私共の眼からみると,人口の少ない国が国民の1人1人に行き届いた行政をやつているように見受けられ羨しく感じる点が少なくない。既に医療保障,社会保障の完備を誇つているので,日本がこのような状態を実現させるのにはあと何年かかるのだろうかと嘆息が出るくらいであるが,しかし実際によく観察すると,彼等は彼等で多くの悩みを持ち行政のおよばない方面になお努力している姿が伺われる。われわれも同じ過程をふんで行くのか,あるいはまた日本の特殊事情が新たな領域を開発して行くものだろうか等と考えをめぐらして行くと,楽しい希望が生じるものである。これらの先進諸国の現状を充分理解した上で,新たな構想のもとに必ずや斬新な諸施策があみだせるのではなかろうかと私はひそかに自信を持つことが出来た。それがどんなものかは即答は出来ないが,9千万の人口をかかえ,小さな国土で多くの人達が競い合つてお互におのれをみがき合うことは,やはりいずれの分野においても必要なことと思う。
老人に対する思いやりが世界第一といわれているデンマークについて概説をしてみよう。
Copyright © 1960, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.