特集 成人病対策
循環器集団検診とその限界
伊藤 良雄
1
,
石川 中
1
,
森沢 康
1
1東大分院内科
pp.516-522
発行日 1961年9月15日
Published Date 1961/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202440
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
I.はしがき
成人病,主として循環器疾患は病気の性質上癌と並んで可及的早期に発見し,適切なる処置乃至治療を実施しなければ治癒は勿論のこと,活動力の保持生命の延長はおぼつかない。慾をいえばその前段階において発見してこそ始めて完全な成人病対策といえよう。かようなねらいをもつて各所で集団検診が行われている。正常と異常とはその両極端においては一見して差は明らかであるが,境堺域にはどちらに入れるべきか判断に迷うものがあるのは当然である。集団検診においても必然的にかかる困難な問題に直面しなければならない。また循環器疾患は種々の検査所見を綜合して始めて診断が下されることが多く,且つ検査法の中には時間を要するものもある。これ等のことは集団的に物事を処置する上に大いに問題となる点である。従つて現今各所で行なわれている循環器集団検診の方式も画一的なものでなく,それぞれ多少とも独自の特徴をもつており,結核検診の如き標準方式の設定は近き将来に残された問題である。以下問題点につき若干のべてみたい。
Copyright © 1961, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.