原著
東北一山村における百日咳の集団発生について
辻 義人
1
,
久保井 愰
1
,
本間 安正
1
,
牧野 礼子
1
,
星島 啓一郎
2
,
佐藤 健象
2
,
横山 定助
2
,
長浦 小一郎
2
,
大串 章
2
1福島医科大学公衆衛生学教室
2福島医科大学衛生学教室
pp.298-303
発行日 1961年5月15日
Published Date 1961/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202407
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I.疫学的調査
百日咳の疫学については既に小山1)による報告があるが,尚かなりの問題を残しているといわれる。特に僻村における爆発的流行に関する調査報告は極めて少なく,金子2),辻3),六弥太4)らの報告が最近10年間に散見される程である。しかし百日咳に先天性免疫が存在するか否か,或いは不顕性感染の存在の有無,予防接種の効果判定等々の疫学的特性を知るためには,爆発的流行の事例を観察することは極めて重要なことと云わねばならない。この意味においては辻5)は福島県の一山村における流行性耳下腺炎の疫学的特性について述べているが,今回は同じく福島県において百日咳の爆発的流行を観察したので報告する。
患者の多発した地区は,福島県河沼郡柳津町西山地区で,福島県会津地方の交通不便な,周囲と殆んど隔絶された山村である。
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