文献
双生児の寿命と知能
芦沢
pp.286
発行日 1961年5月15日
Published Date 1961/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202405
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ニユーヨーク州居住の60歳以上1,603組の白人双生児の調査から次のような成績がえられた。1)60歳以後の5歳別生存率には,双生児と一般人口との間に何ら差異がない。したがつて年齢学的の諸研究に寿命の点では双生児標本は一般人口母集団の標本とみなしてよいことになる。2)一般に対の双生児同士の寿命の差は,年をとるにしたがい少なくなるが,同じ性でも一卵生の方が二卵性にくらべその差ははるかに少い。3)134組の双生児にWechsler-Bellevue Intelligence Scale I,List I of Stanford-Binet (1916) Vocabulary Testおよび普通のタッピングテストを課し,8年たつてそのうちの36組には再び同一テストを課した,8年たつてみると,例外なくどのテストについても平均スコアは同一人についてみると低下を示した。4)テストの6項目中5項目までは一卵性双生児同士間のスコアの差の方が対の二卵性同士より小であつた。
一卵性双生児にあらわれている遺伝的な生物学的同一性は老年期にわたつても強く作用し,寿命だけではなく,精神機能にも相当影響をおよぼしていることがわかる。
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