特集 高血圧の疫学
東北地方における高血圧症の栄養学的研究
鈴木 慎次郎
1
1国立栄養研究所栄養生理部
pp.142-145
発行日 1959年2月15日
Published Date 1959/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202101
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私どもは過去数年間に山形県と岩手県の農民について高血圧症の栄養学的研究を既に7回実施してきた。その成績の概略を述べ,その栄養学的原因を考察する。
東北地方農民の体型は殆ど皮下脂肪の少い胸囲の秀れた広身型で,栄養状態のあまりよくない筋的作業型である。また,夏季と冬季の体重を比べると,冬季には平均3kgも増加し,夏季の農繁期における労働と栄養との平衡が負になつており,冬期の農閑期まで栄養負債を負つていることがわかる。さらに,男女の体格をくらべると,村によつては男子の割に女子が著しく劣る点が目立つ。中でも高血圧者の体格は,背が低く,厚育にすぐれ軟組織殊に皮下脂肪にとむ者が多い。
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