特集 花粉症の基礎・臨床Overview
東北地方における花粉症の特殊性
松原 篤
1
1弘前大学大学院医学研究科耳鼻咽喉科学講座教授
キーワード:
花粉症
,
スギ
,
ヒノキ
,
イネ科
,
キク科
Keyword:
花粉症
,
スギ
,
ヒノキ
,
イネ科
,
キク科
pp.19-21
発行日 2020年4月20日
Published Date 2020/4/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.38.04_0019-0021
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花粉症は種々の花粉によるアレルギー性鼻炎であり,その代表としてはスギ花粉症が最も有名である。スギは第二次世界大戦後からの復興の目的で1950年前後より全国各地の広い面積に植林され,林齢30年以上のスギ林が増加した1970年代頃からスギ花粉症が増加したことが指摘されている1)。馬場らが2008年に行った全国疫学調査では,スギ花粉症の有病率は全国平均で26.5%に達していることが報告され,社会に衝撃を与えたことは記憶に新しい2)。この調査では県別にスギ花粉症とスギ以外の花粉症の有病率も報告されているが,その土地の樹木や草本の植生により花粉症の疫学も異なるのは周知の事実である。たとえば,スギの植林がほとんどない沖縄県や,スギの植林が道南などの一部に限定されている北海道などでは,スギ花粉症の有病率は極めて低率であるが,北海道ではスギにかわりシラカンバ,カモガヤ,ヨモギなどスギ以外の花粉症が多いことも指摘されている3)。一方,東北地方は青森県から福島県まで南北に長く,東北6県合計の面積は全国の約3割を占め,森林面積も非常に広く秋田スギで有名な秋田県を筆頭にスギの人工林が多い地域であるが,必ずしも東北6県のスギ花粉症の有病率は決して高いものではない。本稿では,東北地方におけるこのようなスギ花粉症における矛盾と,ヒノキ花粉症やイネ科花粉症,キク科花粉症などスギ以外の花粉症についても述べる。「KEY WORDS」花粉症,スギ,ヒノキ,イネ科,キク科
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