講座
東北地方農村のお産に関連した風習について
石浜 淳美
1
1岩手医科大
pp.66-71
発行日 1957年6月1日
Published Date 1957/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201292
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生活にまつわる迷信や古い因習というものは洋の東西を問わず,どこの国にもあるもので,日本においてもこれらが農村だけに限つてみられる現象ではない.しかしながら科学教育の普及した今日では,これらの日常生活に関係した種々の因習も,段々とその影をひそめつつあるが,それでもなお老人のいるところや,特に農村では,どちらかというと都会にくらべて因習や迷信がいまなお相当にはばを効かせている.
岩手県特にその県北には,いまなお日本のチベツトと称される地方があり,そこの住民たちは他の地方の人々には倒底想像もつかないような原始的生活を営んでいる.一昨年読売新聞社が実地調査団を派遣して調査し,その成績はしばしば映画や新聞にも発表されているが,わたくしも,受胎調節の実態調査並びに実地指導のため,しばしばこれらの地方に出向いたので,その際に見聞したなかから婦人の生活特にその妊娠,分娩,育児などわれわれ専門に関係のあるもので,この地方に特有な因習をひろつてのべてみる.
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