原著
外航船舶乘組員及び船客の痘瘡経過者調査成績
前田 弘近
1
,
玉ノ井 恒
2
,
泉 修一
3
,
野口 和之
4
1鹿児島検疫所
2門司検疫所津久見出張所
3熊本大学医学部衛生学教室
4横浜検疫所
pp.549-553
発行日 1958年10月15日
Published Date 1958/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202035
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痘瘡はコレラ,ペスト,発疹チフス,再帰熱及び黄熱と共に検疫伝染病の1つである。毎土曜午後のNHKの検疫伝染病情報ラジオ放送にもある如く,南方熱帯諸地域には毎週痘瘡の新発生が報ぜられているが,我国においては,予防接種法施行規則によつて,定期種痘を施行しており,現在痘瘡患者の発生はない。また時に,外国から輸入して近年にも,地域的に小流行をみたことはあつたけれども,その数は少なく,たとえ罹患しても大部分は軽症に経過し,治癒後もなお顔面に定型的な痘痕を残している所謂痘瘡経過者をみかけることは殆んどない。しかし,外航船舶乗組員中には定型的な痘瘡経過者をみかけることは,検疫に際してよく経験するところである。これら痘瘡経過者を調査することは,過去におけるその国の痘瘡流行状態を知る上に興味があるのみならず,検疫上にも参考となるので,筆者らは門司検疫所勤務中,昭和29年1カ年間関門港入港の外航船舶についてこれが調査を行つた。
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