原著
乳房及び乳嘴の形態について
佐藤 千春
1
1群馬県太田保健所
pp.37
発行日 1957年11月15日
Published Date 1957/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201897
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1.はじめに
当地方農村地帯の乳児の栄養方式は,母乳栄養が多く,その頻度を見ても,母乳89.1%混合9.2%人工1,6%(6カ月未満)となつている。1)これは必ずしも母乳の満足な分秘量を示すのではない。母乳不足にも拘らず,無頓着に授乳を継続しているのであり,それは検診によつて乳児の発育を見ればよく判る。
これ等母乳不足の原因は,母親の体質上から分秘量の過少な者も少くない。然し一方,本来分秘量が多いにも拘らず,乳房又は乳嘴の畸形のため,即ち乳嘴が過大,又は過小のために,乳児初期の乳汁吸啜に障碍を与え,又炎症を起した側の乳房の断乳,時には又,授乳初期に於て分泌量過多のため,一側の乳房のみ偏用して,所謂廃用性萎縮を来し,乳児の発育と共に,乳汁の不足を来すものが少くないのである。筆者はこの点について検診時いつも痛感したので,昭和30年9月〜10月群馬県安中保健所管内の乳幼児検診に際して,その母親の乳房,乳嘴を観察して,下記の如き成績を得た。
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