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舌乳嘴腫の2症例
丸山 良平
1
,
安野 友博
1
1京都府立医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.305-307
発行日 1960年4月20日
Published Date 1960/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492202427
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I.緒言
乳嘴腫は我々耳鼻咽喉科領域において,喉頭,咽頭,口腔,舌等に時々発見する良性の腫瘍である。その発生頻度は喉頭において最も高い様であるが,口腔内の乳嘴腫は多く口蓋垂,口蓋弓,頬粘膜に発生し,舌には比較的稀に見られる。文献によると口腔乳嘴腫81例中舌は11例と云う報告もされている。舌に出来る良性腫瘍中ではリンパ管腫,血管腫に次いで見られるもので,線維腫,脂肪腫,腺腫等よりは多い様である。
この乳嘴腫の特徴は,しばしば小児期に発生する事であり,種々の保存的治療に抵抗するのみか,隣接器官に転移,或は浸潤する傾向があるが,あく迄良性のものである。にも拘らず時に癌性変化を起すので前癌状態とする説もあり,又時に数年経過の後に自然治癒を見る事もある為,臨床的にも興味あるものである。その病因についてはヴィールス説,機械的化学的刺激説,ホルモン説等種々が称えられており未だ確説を見ない。
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