特集 喉頭腫瘍
喉頭乳嘴腫
小野 讓
1
,
斎藤 英雄
2
,
五十嵐 真
1
,
伊藤 真
1
,
永瀨 邦彦
1
,
宮部 勳
1
,
鈴木 啓司
1
1慶応義塾大学医学部耳鼻咽喉科学教室
2日本大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.404-413
発行日 1958年5月20日
Published Date 1958/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492202010
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
Ⅰ.序
喉頭乳嘴腫は臨床的には喉頭ポリープに次いで最も多く見られる一般的な良性腫瘍である。然しながら時として幼少児に発生し,各種の治療が効なく,増大蔓延の傾向をたどる事がある。又,たとえ治療が効を奏しても,屡々再発の傾向があるとされている。臨床的に「悪性」と云われる所以である。
歴史的にみると17世紀にDonalusによつてwarts on the throatと云う言葉が用いられている。1863年にVirchowは乳嘴腫は病理学的にはfibromaとして扱うべきであると述べているが,Hirschfeldは見解を異にし,上皮の単なる乳嘴状の増殖を乳嘴腫と呼ぶべきであるとしている。このように病理学的にも結合織性のものであるという考えと,上皮性のものであるとする説との間に一致が見られない。更に1880年にはMachenzieは喉頭腫瘍の統計の中で,相当多数の乳嘴腫の報告を行つている。
Copyright © 1958, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.