特集 最新の予防接種
各論
小兒マヒワクチンの最近の進歩
北岡 正見
1
1国立予防衛生研究所リケツチヤウイルス部
pp.40-45
発行日 1956年2月15日
Published Date 1956/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201648
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昨年11月に米国小児マヒ財団のO'Connor会長(1)が次ぎのように述べた。即ち1956年の小児マヒ対策には47,600,000ドル(邦貨171億3600万円)が必要であり,10セント募金の協力が望まれる。そして過去においては,有効なワクチン製造の達成に多額の研究費を投じたが,今日ではほぼその目的が達せられ,今年は無料で広く学童にワクチン接種を行う計画が立てられている。勿論小児マヒ患者の救済にも援助金が当てられ,肢体不自由児には移動用の車を,呼吸筋マヒの母には鉄の肺を,四肢不自由な父に義手,義足を与え,その生活を助けるというのである。
WHO(2)の報告によると,アメリカ大陸において,1945〜54年に亘る10年間の小児マヒ患者発生数をみると,カナダと米国では,他のアメリカ大陸の諸国に比して増加し,例えばカナダでは,1945年の届出患者総数が384例,1952年のそれは5,787例,また米国では1945年のそれは13,624例,1952年のそれは57,879例で,また米における1950〜54年の5カ年間に亘る平均届出患者総数は,凡39,000例で,わが国の年届出患者平均数が凡2,000〜3,000例であるのに比して,凡10〜20倍に当るのである。
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