特集 最新の予防接種
各論
インフルエンザ・ウイルス・ワクチン
深井 孝之助
1
1大阪大学微生物病研究所
pp.46-48
発行日 1956年2月15日
Published Date 1956/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201649
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〔1〕
少量のインフルエンザ・ウイルスを孵化第11日の卵の漿尿膜腔内に接種する。35.5°で48時間培養すると,漿尿膜内被細胞で増殖したウイルスは漿尿液の中に放出される。この漿尿液を採り,超遠心的にウイルスだけを集める。それを不活性化し,緩衝液に浮遊させ,防腐剤を加えたものが現在用いられているインフルエンザ・ウイルス・ワクチンである。
米国のStanleyや,Francis, Salk等にならつて,この型のワクチンが日本で造られ始めてからもう5年以上が過ぎてしまつた。この何年かの間,春早く3月からは卵と共に無菌室の中で,6月頃からは2°の低温室の中で超遠心機と共にふるえながら,このワクチンをつくつて来た私達は,インフルエンザ・ワクチンには他のものと比べものにならない愛着をもつている。私達はこのワクチンを育ててゆきたい。
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