特集 医療制度とその盲点(Ⅰ)
看護に関する諸問題
小西 宏
1
1病院管理研修所院
pp.28-29
発行日 1955年1月15日
Published Date 1955/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201514
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看護婦,保健婦,助産婦については嘗て夫々看護婦規則(大正4年),保健婦規則(昭和16年),産婆規則(明治32年)があつたが,昭和22年7月これらが廃止と同時に保健婦,助産婦,看護婦令に一本化せられ,1年後には法律となつた。我が国の看護婦制度はこれによつて根本的な改革がなされた欧米の先進国並の制度がここに確立をみた訳である。併しその後数次に亘る改正が加えられ,現行の制度に到達するまでにはかなりの迂余曲折があつた。このことは新制度が占領下という特殊条件の下に一応生れることは生れたがそれを育てることの難しさを物語つている。ナイチンゲールがヨーロツパに於ける看護改革にその一生をかけたことを思えば我が国に於てこれ位の経緯を伴つたことは当然のことかも知れない。又ナイチンゲールの改革が欧米の病院の近代化への黎明を齎した如く,我が国の場合に於てもこの看護改革が病院改革の端緒を開いた点に於ては同じ意義をもつものということができる。
兎もあれ,今日看護を廻つて存在する種々の問題は直接間接にこの新制度に基因していることはいう迄もない。大地震のあと余震が続く如く,これだけの画期的な変革のあとに若干の問題があとを引くことは止むを得ない。それらの問題のうち一番大きなものは看護婦の不足ということであり,このことが又凡ての問題に多かれ少かれ関係を及ぼしている。併し今日看護婦の不足に頭を悩ましているのは我が国だけではない。
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