特集 勞働衞生最近の進歩
工場衞生工学の現状
輿 重治
1
1公衆衞生院
pp.58
発行日 1954年11月15日
Published Date 1954/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201487
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衞生工学と云う言葉は現在我が国では,上下水道の問題がその主体であるかの如く考えられている感がある。上下水道等の問題はたしかに重要なものではあるが,人間の生活活動の面に於いて多くの労働者が珪肺を始め種々の職業病の前に身を曝しているとき,これを保護するための謂わば労働衞生工学と云う分野が,勞働衞生その中に当然或程度の比重を以つて考えられるべきではなかろうか。
労働者を職業病から護る手段としては,諸々の有害な環境を作らない事が最も基本的なものである事は,今更云うまでもないことである。職業病の研究と併行して,諸外国では如何にして有害な環境を作らない様にするか,と云うことが研究され,一,二の特殊な作業を除き,殆んどの労働環境を健康にとつて安全なものに変えることは,これ等諸外国の文献によつて技術的には可能である。
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