特集 食中毒
食中毒の疫学
佐竹 繁男
1
,
十亀 國子
2
1厚生省食品衞生課
2国立公衆衞生院疫学部
pp.1-6
発行日 1954年9月15日
Published Date 1954/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201449
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
I まえがき
昭和24年以後,2526,27年と毎年食中毒集団発生報告をもとにして,食中毒の疫学的考察を行つているが,終戦後の混乱状態もおさまり,食糧事情も一応は戦前と同一のレベルに達した最近において,再び食中毒の発生が増加の傾向を示して来た。特に目立つのは集団発生の多くは工場病院の給食や,全国の小学校に於いて保健体位向上の為に実施されているところの学校給食等集団給食施設の増加や,戦時中,中止されていた修学旅行,その他の団体旅行の復活の為これらをもとにして起るものが多く,又食糧の出廻りが円滑になつた為,商人の行商が多くなつた事,又,時世を反映して,いかがわしい加工食品の多くなつた事,等の事情が錯綜して,食品を扱う人,食べる人の不注意に乗じ食中毒発生の動機を多くしている事情などがうかがえることである。従つて食中毒集団発生の危険にさらされている一般大衆,被給食集団,集団旅行者等に対して,その注意を換起する意味からも食中毒の疫学的考察を行うことは甚だ肝要と思われる。
Copyright © 1954, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.