特集 食中毒
新しい細菌性の食物中毒
福見 秀雄
1
1国立予防衞生研究所
pp.7-10
発行日 1954年9月15日
Published Date 1954/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201450
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食物が惡くなると世間では言う暑い気節には調理してから数時間も放置すると,食物によつては色が変り,臭いが変つて変質して来る。食物が惡くなつたのである。こんな食物は味の点から言つても食い物にはなるまいし又人はくさつた食物として食わずに棄ててしまう。併し多少臭の変つた程度のものを食つても必ずしも食物中毒になるものとも限つていない。細菌性の食物中毒が問題になる限り,やたらにどの細菌でも食物中毒の原因となり得るものではない。
細菌件食物中毒は周知のように,大体2つの範疇に区別される。1つは細菌そのものが食物と共に消化管内に這入つてそこで増殖し,そのことによつて中毒がおこるものであるし,もう1つのものは,食物の中で細菌が増殖し,その際産生された或る種の毒物のために中毒がおこる種類のものである。前者の代表的のものはサルモネラによる食物中毒であり,後者ではブドウ球茵の産生する胃腸毒による食物中毒,あるいはボツリヌス菌の出すボツリヌス毒素による中毒がこれである。
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