特集 公衆衞生に必要な新藥の知識
抗酒剤
高橋 宏
1
1東大精神病学教室
pp.68-70
発行日 1954年6月15日
Published Date 1954/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201410
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元来ゴム工業に地味な役割を演じていたDisulfiram(Tetraethylthiuram Disufild)が,生体のアルコールに対する耐性を著しく低下する作用を持つことを偶然発見され,これがデンマークの科学者Jacobsen及びHaldによつて初めて記載され,更に同国のアルコール中毒専門医である。Martensen-Larsenが,アルコール中毒治療剤としてのこの薬品(商品名Autabus,アメリカ及びカナダではAntabuse)の使用経験を発表してから,足かけ7年の歳月が過ぎた。
日本でDisulfiranがこの目的に使われたのは昭和25年であり,われわれの教室では,現在まで800を越える患者が,昨年春よりNocbinの名で製品化されたこの薬品を投与された。
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