時評
抗酒藥の取扱
三堀 三郞
1
1東京都藥務部
pp.14
発行日 1953年3月15日
Published Date 1953/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201179
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最近異色の医薬品として衆目を浴びているものに,抗酒薬とか嫌酒薬とか言われている,アンタビユース(Antabus)なるものがある。このものは化学的にはテトラエチル・チウラム・ダイサルフアイドなる化合物で,70年も前に合成されて,30年も前からゴムの硫化促進剤としてゴム工業方面に用いられているものであるが,数年前,デンマークのヤコブセンが偶然の機会から,このものを服用すると体内におけるアルコールに対する感受性が高まることを発見し,これによつてアルコール中毒症の治療法を確立したので,欧米では既に市販されているものである。
ところで,最近わが国でもこれが製造の許可申請が厚生省に出されたので,日本における薬理並に臨床実験の結果,その効果の著しいことが認められたので,いよいよ許可ということになつたがさてこのものの取扱について一つの問題が生じたのである。
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