研究報告
赤痢患者,同附添人及び家族の赤痢菌検査索
織家 実
1
,
伊地 知隆
1
,
江崎 孫平
1
,
落合 国太郞
2
,
沢田 收
2
,
内藤 晶之助
2
1名古屋市衞生局防疫課
2名古屋市立城東病院
pp.81-86
発行日 1954年2月15日
Published Date 1954/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201340
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1.緒言
近年わが国における赤痢は終戦直後殊に昭和23年度において著しく減少し,一時はこのまま赤痢がわが国からなくなるのではないかとさえ思われたほどである。しかるに昭和24年から,赤痢が再び猛烈な勢で増加し,赤痢の予防は現下日本における保健対策上重要課題の一つである。これに鑑み,昭和28年9月1日から,厚生省主催のもとに赤痢の実態調査なる行事が全国的に展開され,各行政庁,研究所,保健所,伝染病院等挙げて赤痢の疫学基礎,臨牀に亘つて大掛りな調査研究が行われつつある。
赤痢は人に限られた伝染病で,病原菌の侵入門戸は専ら口腔であり,その排泄路も亦糞便中に限られている。従つて赤痢の伝染経路は肛門→口であり,至つてわかりきつたものである。しかるにその間に介在する条件は極めて多種多様である。
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