銀海餘滴
市販買藥點眼藥について
中泉
pp.626
発行日 1952年8月15日
Published Date 1952/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410201244
- 有料閲覧
- 文献概要
市販賣藥點眼藥を使用して著しく眼病が惡化したといつて來院する患者が大部ある。
多くは,つかれ目,のぼせ目位に思つて賣藥を點眼した所が急に惡化して急性結膜炎の樣になり,めやにが澤山出て充血してはれるとか,涙が澤山流れて困るとか,又眼瞼がひどくはれ上つたもの,又眼瞼縁炎樣になつたもの等がある。これらはそうなるべき筈のものが初期輕症の内に市販點眼藥を使用したのでその點眼藥には全然闘係のないという場合も勿論澤山あるであろう。又市販賣藥はすべて警視庁の許可を得た塵方で藥剤師が嚴重に調剤したもので害になる樣なものは調剤當時入つている筈はない。尤も許可通りの處方で睫毛が白變して困つている人も澤山ある。某高校の教官で睫毛白變ばかりでなく,眼瞼より下眼瞼はほほの部分迄皮膚が白變してしまい大きな黑色のロイドメガネを年中かけている人がある。この人は藥屋に文句をいつていつたら,藥屋の曰く,藥品はすべて警察の許可通り調剤してあつて,これに間違があれば責任を負いますが處方通りでいけないのは許可した警視庁が惡いので當藥店の責任ではないから警視庁に文句をいつて下さいと云われたそうである。處方が元來惡いというこんな場合はのぞいて上記の樣な事は屡々輕驗する所なので,これについて考えて見ると次の樣であるらしい。處方通りに正確に調剤されたにちがいないがこれが使用者の手に入る迄は一カ年以上も經過している場合が多い。
Copyright © 1952, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.