--------------------
公衆衞生落穗ひろい
pp.217
発行日 1951年11月15日
Published Date 1951/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200953
- 有料閲覧
- 文献概要
手指に赤痢菌がついている
神田のある本屋さんで,69人の赤痢患者が一時に發生した事件があつた。合計300人計りの店員中,3分の1が,この災厄を蒙むつたわけです。ところが面白いことには,此店には寄宿舎が3つありますが,第1宿舎から一番澤山患者を出しているのに,第3宿舎は,總數69名中,僅かに3名しか出ていない。食事はどつちが先かというと,第1宿舎が最初で,後は,第2,第3の順序です。そこで賄係の檢便をして見た所,6人の中,19歳になる娘さんが,赤痢保菌者であることが分りました。想像するに,この娘さんは,お便所に行つた後,そう念入りに手を洗わなかつたと思うのですが,此赤痢菌のために汚染された手で,「オシタシ」をこしらえたのです。所が,最初にこしらえた「オシタシ」を食べた第1宿舎員が最も多く患者になつた。第3宿舎店員の「オシタシ」を作る時分には,手も餘程きれいになつてしまつたので,第3宿舎から少ししか出なかつたのだと思われます。
Copyright © 1951, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.