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優生結婚は何故必要か
川上 光雄
1
1國立公衆衞生院衞生統計部
pp.203-205
発行日 1951年11月15日
Published Date 1951/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200946
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公衆衞生の力に依り近年死亡率が著しく低下して來たことは誠に喜びに堪えないが,反面人口問題の見地から云えば自然増加率の著増となり,その對策として産兒調節の必要が叫ばれるに至つた。ところが昭和24年の公衆衞生院人口學部の調査によると,受胎調節を行つている夫の教育程度は,大學卒業者に於て30%,專門學校卒業者に於て27%,中學卒業者に於て19%と教育程度に比例して低下し,小學校卒業者では僅か0.8%だけが實行していると云う結果が出ている。この儘放置して産兒制限を續けるならば,優秀者だけが減つて民族素質の低下が火を見るよりも明らかだと云う心配がある。そこで,民族の素質を低下させることなく,しかも量を制限する方法として婚姻形態上第1圖の如く對等者同志の婚姻を漿働し,優秀者の子孫を確保すると共に,優生學的に見て好ましからざる素質者にはより以上の産兒調節の普及を計ることが適當である。
然らば現實の社會に於てどの程度に對等者同志の婚姻が行われているか。先ず婚姻の際配偶者の教育程度がどの位重要視されているかを観察して見た。昭和23年の神奈川保健所管内の婚姻票を使用し夫妻間の教育程度の相關を計算するとγ=0.62…となる。
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