主張
厚生省の衞生教育に希望する
Q
pp.194
発行日 1951年11月15日
Published Date 1951/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200942
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こんどのBCG騒動,行政整理,機構改革と,厚生省を吹きまくつた一連の颱風は,厚生省の技術官僚えの最上の教訓であつた。教訓というには餘りにも高價な犠牲を伴つたけれども,しかし彼らが謙虚な態度で,この颱風の教訓を味得するならば,大きな收獲を將來に期待しうるであろう。そしてそれが第二,第三の颱風への防波堤の礎石となるであろう。「災害は忘れられたころに來る」という重言をこゝに確認しておこう。
いかに立派な,意味の深い仕事をやつていても,その仕事を民衆に理解させ,愛させる努力を常日頃拂つておかないと近ごろの無責任な政治家たちの獨善的な思いつきで,一たまりもなく潰されるであろうし,潰されるさまを實は當の被害者であるはずの民衆まで,けろりとして見送るであろうという教訓である。これはおそろしいことだ。技術官僚にとつても悲劇であるが,實は民衆にとつて最も悲劇的である。悲劇の主人公たちが,自分たちが自分たちの配役と運命を自覺しないから,一そう深刻である。
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