綜説
厚生省20年の回顧と將来—公衆衞生を中心として
山口 正義
1
1前厚生省公衆衛生局
pp.523-526
発行日 1958年10月15日
Published Date 1958/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202025
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先日「公衆衛生」の編輯当局から,公衆衛生を中心として厚生省20年の回顧と将来という題で何か書くようにとの依頼を受けた。戦前戦後を通じて公衆衛生行政に精進して来られた先輩や同僚が多数居られるのに,私がそんな事を書くのは僣越かとも考えたが,厚生省が誕生して間もない昭和13年の夏,当時の労働局に入つて労働衛生の仕事に携わるようになつてから先日公衆衛生局長の職を退くまでの20年間,それこそ出張以外は一歩も厚生省を離れずに続けて勤務させて載いた身でもあるので,敢えてお引き受けすることにした。
一口に厚生省20年の回顧と言つても,その誕生から終戦までの7年間余と終戦後の10数年間とは全く様相を異にするし,また終戦後の10数年間と雖も,昭和27年の平和条約発効を機として連合軍総司令部の覊絆を脱した時を境としての前後では大いに事情を異にしている。斯う考えて来ると,戦争終結,平和条約発効を夫々境界点として20年間を凡そ7年前後宛の三つの期間に別けることが出来るのではなかろうか。そして厚生省の歴史も夫々の時期に応じて夫々特色を持つており,公衆衛生を中心にして過去を振り返る場合にもそういう特徴を持つた構成になつて来るであろう。
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