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肋膜外合成樹脂球充填術に對する批判
加納 保之
1
1國立療養所村松晴嵐荘
pp.363-366
発行日 1951年6月15日
Published Date 1951/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200850
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1947年から1949年に亘り京都大學結核研究所長石博士等によりメタクリール酸系合成樹脂を,材料とした肋膜外充填術が發表され,たまたま同時に之とは別個に米國に於てD.A.Wilconにより同樣の材料を以てすう同樣の方法が發表された。前者は大小種々の形態の偏平楕圓形中室の接合形成物を用い,後者は徑1吋程度の中室球形接合形成物を用いた點が異る。然し後には前後に球状形態のものも用い,構造上種々改良されたものも用いられるに至つた。1948年から1949年に亘りこの方法が非常に廣く結核治療に應用されたが,症例數が増加すると共に,その成績が案外に良好ではない事が判明し最近では,むしろ反對意見が大きくなり,再び捨て去られてしまつた感がある。この餘りにも甚しい對蹠的な現象の由因に就ては學問的にも社會的にも批判を要する點が多々あると考えるが,筆者は主として前者に就て若干の考察を加えてみる次第である。
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