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結核菌の單純塗抹染色標本檢査について
小川 辰次
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1結核豫防會結核研究所
pp.367-368
発行日 1951年6月15日
Published Date 1951/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200852
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染色法は一見簡單の樣に見えるが,培養などと違つて非常にむつかしい。それは初心者が本に書いてある通りやつて見ても,思う樣に染らない事でもわかるし,又かなり熟練していると思われる人でも,同樣に染つていない事は間々ある。たしかに染色の手技は本では書き表わせない樣な所がある樣に思われる。我々は,だからして先ず染色に習熟する事が必要である。私は同一の方法を何回も繰り返して練習する事がよいと思う。そう云う事によつて,其の方法の長所と同時に,短所をも知り得る事になり,此處で初めて染色技術が一人前となつたと云う事が出來る。又我々は染色の技術を會得すると共に見る眼を作る事が必要である。結核菌が澤山居つても,標本を澤山見ていない人の眼には結核菌として映らない。
此の樣に染色の技術に習熟し,又見る目が出來たとしても,現在の染色法は抗耐性,或いは抗アルコール性を利用したものである爲に完成型と思われている抗的性菌は検出出來るが,非定型的な抗酸性の弱いもの,或いは抗酸出來ないわけである。
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