主張
豫防接種の徹底
岡田 貫一
1
1東京都中野保健所
pp.153-154
発行日 1951年3月15日
Published Date 1951/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200798
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1)豫防接種を受けることが法律をもつて義務ずけられてから既に2年になるが,豫防接種は果して徹底して實施されたゞろうか。接種の施行責任者は一般には市町村長で,保健所長は指示と監督をするのが立前であるが,東京都内にあつては保健所長が實施の責任者で,衞生局長の命を受け自ら計晝を樹で注射の實際にも當らねばならない。ての點東京の保健所長は他府縣に比べて責任が重いわけであるが,東京の場合を例にとつて豫防接種の成績はどうであつたゞろうか。又どんなところに問題があるか考えてみたい。
2)てれまで私共が大がかりに實施した豫防接種は種痘,腸パラ,ヂフテリア,結核の4種類だが,その經驗からすると種痘が一番成績が良く該當者の9割,次いで腸パラとヂフテリアが7割,結核はぐつと惡く4割に達しない。該當者のうち學校,工場等の集團生活者,或いは保健所で監督している業者の家族等は殆ど100%に近い成績だが,それを除いた一般民衆の接種は甚だ難かしく,隣組や衞生組合のない今日,一般を如何に豫防接種に驅りたてるかは人知れぬ苦心を要する所で,全體を通じ8割實施出來たら先す徹底したと見てよいのでなかろうか。
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