隨感隨想
盛夏衞生隨想
小島 三郞
1
1豫防衞生研究所
pp.84-85
発行日 1950年8月15日
Published Date 1950/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200696
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◇赤痢を語る
赤痢が今年は格段に増加しつゝある。私は昨年すでにスルファミン劑に耐性を有する赤痢菌の出現を聴かされ,臨牀家もこの種の赤痢患者,以前ならば容易に恢復したに相違ないものが,案外化學療法に抵抗する事實,その分離赤痢菌が試驗管内實驗で強度の耐性を獲得しあるの事實を知らされて,至大の關心を持つていた。昭和22年1月21日の日本醫事新報に「細菌性赤痢の醫學療法」なる題で,學術研究會議の特別委員會傳染性腸疾患科會の共同發表があり,その續報として同誌に翌昭和23年2月11日にも綜合報告が出た。又委員各位の單獨發表は別に各自の名を以て物せられある。要するに赤痢の化學療法としてのスルフアミン劑を高く評價した。茲に綜合報告の筆頭署名者として私の強調したい事は,その量に就いての記載を回顧せられたい點にある。例えばスルフアチアノールに於て,1回1.5瓦(但し第1回だけは2.0瓦),1日6回,4時間間隔,3日間連續投與,全量27.5瓦と記し,フタリール化合物に至つてば,全量37瓦に及ぶべきを述べ,又小児使用量はヤングの計算式による量の倍量を大人と同じ使用法で投與せられん事を訴えた。
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