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勞働者住宅の住まい方研究
相澤 龍
1
1大阪市立生活科學研究所
pp.88-93
発行日 1950年2月15日
Published Date 1950/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200581
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緒言
荒廢した住生活が傳染病の蔓延や道徳の頽廢を惹起する事は既に古くエンゲルスが産業革命に伴つて起つた勞働者の悲慘な居住状態を「イギリスに於ける勞働者階級の状態」に於て,又横山源之助氏が明治初期の勞働者の有樣を「日本の下層社會」に於て述べた所からも明らかである。
戰後我國は未曾有の住宅難に直面しているが,大阪市に就て當研究所が行つた住宅調査の結果からも明らかな如く,戰災に依る著しい住宅不足の結果は居住状態に於ては他世帶との同居で暮している家族の著しい増加を來し,居住面積に於ては極度の過密住と過密就寝が見られ,住生活の荒廢が容易に想像されるのである(1)。
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