厚生行政の展望
結核豫防行政の行き方
高部 益男
pp.95-98
発行日 1949年8月15日
Published Date 1949/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200509
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一般の行政でもそうであると思うが,衞生行政のように,自然科學的の學術を基盤とする行政では,最高不可侵のものとして,生れた法が,その誕生を見た瞬間に於て,既に改變されなければならない状態にあるといつて差支なく,然も,法の形をとつた以上は,その固定した形に於て,權威をもち,その基盤となる科學との相剋を開始するので,その執行たるや實に法の權威を如何にして無視すべきかというような困難な状態に立至るものである。
一方,行政の對象となる社會は,時々刻々に變化を爲しているものであつて,法の誕生時の状態は,たとえ連續的であるにせよ,次の瞬間には既に等しい状態となるものではない。即ち,衞生に關する法は,常に,内部的及び外部的危機の状態にあるものと考えられる。
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